2014年03月27日

「ノラガミ ♯12 一片の記憶」


ラボウは嘆いていた。
自分の社が荒れ果てていることに。人の願いの残滓もここにはない。
だが我はまだここに生きている。我らは禍津神、生まれ這い上がるも死に落ちるも同じ場所。
そんなラボウの社にテレポートしてきた夜トと雪音だったが、知らず半妖になったひよりも着いて来てしまっていた。
焦る夜トと雪音だが、やがて呆れる。
ラボウと野良が迎えに出て、夜トたちを待ち構える。
夜トはひよりに離れるように言って、戦闘態勢に。
ラボウに向かってゆく。


戦闘が始まり、ラボウを捉えたかに見えたが、ラボウの刃が起こした風に吹き飛ばされてしまう夜ト。
更に水を自在に操るラボウの水撃に飲み込まれてしまう。
中からでは破れない水牢。息が続かなくなってきた所で、夜トを水牢から引きずり出して助けたのはひよりだった。
まだ逃げていなかったのか、と怒る夜トだったが、ひよりを見て、まぁ、助かったと礼を述べる。
ラボウは焦れていた。夜トの眼に。緩んだ顔に。
自分の知る禍津神夜トはどこだと再び剣を交える。
あの夜ト神はどこだ。我が刀を交えたいのはあの禍津神だ。
夜トの攻撃はことごとくかわされ、ラボウはひよりに近づく。
ひよりを斬ろうとしたラボウの刀を、セッキを投げて止めると、夜トはひよりの手を引いてその場を逃げ出す。

外では大きなシケが広がっていた。
天神たちもそれに気づき、毘沙門はそのシケによってあふれ出たあやかし狩りを行っていた。

セッキを呼んだ夜トは、そのまま走って岩場に身を隠し、雪音を戻す。
そして雪音にひよりを連れてここから逃げろと言うのだった。
その場にラボウが現れ、一つのビー玉を見せる。
ひよりの記憶を閉じ込めている玉。
ラボウは笑うと、玉を遠方に投げてしまう。
それを追いかけて走る夜ト。
もう少しで掴めるという所で、ラボウの剣撃が玉を真っ二つに切り裂く。玉は粉々に砕け散り、ひよりは意識を失うのだった。
どうしよう夜ト、ひよりが眼を覚まさない、と悲痛な声でいう雪音。
ひよりを抱きかかえて歩き出す夜トに、ラボウが言う。捨て置け、夜ト神。それはもう声も発さぬ心も持たぬ器。ただの肉塊だ。
ひよりを岩にもたれかけさせると、左手に傷があることに気づいた夜トは、スカーフを取り、巻いてやるのだった。
拳を握り締め、ラボウの科白を黙れ、と遮断した夜トはセッキを呼ぶ。
眼にも止まらぬ早さでラボウを斬りつけ、そして蹴り飛ばす夜ト。
吹き飛ばされ、岩壁に激突したラボウは、近寄ってくる夜トを見て、そうだ、その眼だと喜びを露わにする。
さっきまでの劣勢が嘘のように、攻勢に出る夜ト。まるで別人のように。
切っ先を向けられたラボウは空を仰ぎ、我らが生きていた頃と同じだ、と懐かしむ。
空にはシケがはびこっていた。
これだ。この時を待っていた。今こそ我が願い叶う時!
レイキを天高く掲げ、水の渦で夜トを吹き飛ばしたラボウは、シケを左目に取り込み、あやかしと同化するのだった。
斬り合いが始まるが、両者互角。一歩も譲らない。
ラボウが斬った岩壁が崩れ、ひよりのいる場所に落ちようとしていることに雪音が気づき、夜トに知らせる。
夜トは取って返し、ひよりの元へ急ぐが、ラボウの第二波が襲いかかって…

ひよりは記憶の海で彷徨っていた。
どうしたんだろう、私。私? 私…わからない。何もわからない。何、この香り。
夜トはひよりを庇っていた。ひよりを抱きしめている。
その間にもラボウがこちらへ迫ってくる。
良い香り、と記憶の海の中で眼を開けるひより。
どこかで嗅いだことのある…私の好きな香り。
光に向かって手を伸ばす。
すると、現実でもひよりが夜トの背中に手を回して抱きしめる。
眼を開けて、夜トにもう泣かないでと頬に手をやる。
記憶が戻ったひよりに、頬ずりして喜ぶ夜ト。
そんな夜トにひよりは恥ずかしさからプロレス技をかけ、パンチラしながら吹き飛ばすのだった。
ひよりは野良のかけた術を自ら解いたのだ。記憶のふたが外れたらしい。
破廉恥! と夜トをののしるひより。
そんなひよりの足を水で絡め取り、自らのもとへ引き寄せたラボウ。
何故、昔のおまえに戻らぬ。
ひよりの存在がそうさせると思い込んだラボウは、ひよりの胸ぐらを掴んで宙づりにする。
夜トは再びセッキを呼び、斬るぞと言う。
ここからじゃ、ひよりも斬ってしまうと心配する雪音に、境界と同じだ、どこまで斬るか、どれを生かすか、線引きしろと夜トは雪音に託すのだった。
そして放った一撃は、社のしめ縄を切り裂き、ラボウの中のあやかしも斬る。
自由の身になったひよりは、夜トの元へ走り、抱きつく。
帰ろう、早く、早く帰ろう。夜ト。
その願い、確かに聞き届けた、とひよりを脇に寄せて、ラボウに向かってセッキを構える夜ト。
夜トがラボウを斬り、決着はついた。
倒れたラボウは呪詛を使ってその身を保っていた為、顔が剥がれ落ちて朽ちていく。
いくら願いを叶えようとも、人は禍津神を恐れ、忌み嫌い、忘れ去る。良きも悪しきも人の思いは移ろいやすい。それは理。忘却に殺されるが、我らが運命。だが、500年の眠りを経て目覚めた時、感じたのだ。我を知らぬ者より、我を知るおまえに終わらせてほしいと。
先にゆくぞ夜ト神。我と同じ運命を持つ神よ。
そう言い残してラボウは朽ち果てる。
俺はおまえとは違う、と夜ト。

あーあ、失敗しちゃった。帰ってとと様にお話しなきゃ。
全てが終わった夕暮れの社で、ラボウの面を拾いながら言う野良。

夕暮れの中、帰って行く三人。
本当に記憶が戻ったのかどうか確認する雪音に、どうして急に記憶が戻ったのかと尋ねられたひよりは、夜トの臭いが…と言いかけるのだが、赤くなって適当にごまかすのだった。
そんなひよりに改まって夜トが言う。おまえは俺たちと縁を切った方が良いと。
その方が幸せに暮らしていける。
するとひよりはきっぱり、お断りします。私、夜トたちとの縁、切りたくありません。
小福たちの元へ戻ったひよりは重ねて言う。
スカーフを巻き直しながら聞いていた夜トは、どうせつまらない意地でも張ってんだろうと言うが…
これからもずっと夜トたちと一緒にいたいんです。
それを聞いた夜トと雪音は頬を赤くそめる。
すると、夜トは右手を差し出し、その願い、聞いてやるから五円、と言うのだった。
ひよりは笑って五円玉を手のひらに渡す。
おまえの願い、確かに聞き届けた。
壱岐ひより、貴方にご縁があらんことを。
そして、嬉しそうに笑う夜トだった。

posted by 松風久遠 at 16:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ノラガミ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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