2013年10月12日

運命以前 番外編SS


運命以前の番外編です。
しょーもない話ですが読んでやって下さると嬉しいです。

ではどうぞ。




番外編1 許しを請う人


 シンは珍しく熟睡していた。
 起きたら十一時を過ぎていた。
「あーーーッ 十一時!? ルナと約束!! 一時間もロスってるっ」
 何で起こさないのかという目でレイを見やる。
「珍しくよく寝ているから起こさない方がおまえの為だと。放置ではなく、俺の優しさだ」
 優しさの部分を殊更強調するレイ。
「どうしようどうしよう……遅れ過ぎだろいくら何でも…」
 シンは青ざめた。あまりのショックと危機的状況に呆然とする。
「約束があるなら…そういうことは昨日のうちに言っておけ」
「忘れてたんだよッ。ルナとの約束じゃなくて、レイに言うことを」
 まさか寝過ごすとは思わなかった。
 先約があったルナマリアに新しく配布されたソフトの使い方が良く分からないから、どうしてもと頼み込んでねじ込んでもらったスケジュールだ。
 遅れるなんてあり得ない。
 慌てて着替え、飛び出そうとするシンを引き留めるレイ。
「おい。髪をとけ、顔を洗え、歯を磨け。それから行け」
「そんなことしてるバアイじゃ……」
「もう大して変わらないだろう。せめて身ぎれいにしていった方がまだルナマリアの機嫌も損ねない」
 レイに言われた通りに身支度を整えてシンは、はっと思いついて。
「レイも一緒に来てよ。んで、一緒に謝ってくれ!」
「俺が? 何で」
「おまえがセットだとルナだって極限までは怒れない。ちょっとは溜飲も下がる。レイの顔が目の前にあったら」
「………」
「とにかく一緒に来てくれよ! そんで土下座だよ。土下座するしかねぇよ! 出会い頭で真っ先に!」
「俺は絶対にしないぞ」
「ぶち切れた女がどんだけコエーか知らねーだろ!? すげぇんだぞ、手がつけらんねーんだぞ」
 どうやって機嫌とろう… 
 謝るのが先か?! 機嫌をとるのが先か?!

「あたしが何を言いたいかはアホの子のあんたでも分かってるんでしょうね? 五分待たされるのもイラつくのに」
 オーラからして怖いルナマリア。半眼で言う。
「ごごごごごめん、ルナ。許してくれ許して下さい」
 と、マジで土下座するシン。
 仁王立ちで見下ろすルナマリア。
「あたしの貴重な時間をあんたに割いてやろうってのに。何、この浪費っぷり」
「まぁ、こいつもこうやって謝っているのだし。それに不眠が平然のシンが今日に限っては熟睡できたんだ。寝過ごしたのはそういう理由だ。ルナマリアの言い分が正しいのは当然だが、どうか分かってやってくれ」
「レイを連れてきて弁解させるなんて、知恵が働くわね、シン」
「そ…そういうんじゃないけど」
「ふーん、事情は分かったわよ。でもあたしの怒りは収まりきらないわね。どうすればいいのかしら。このイライラ」
「な、なんでもするから、ルナの言うこと何でもきくから許してッ」
「言ったわね?」
「えっ」
 シンはさっと顔色を青くした。もしや激しく墓穴を掘った気がしたのだ。
 その予感は不幸にも的中した。
 ルナマリアは目の前でレイとキスするように命じたのである。
 レイはやる気満々。
 シンは引き気味。
「えっ、ちょっ、そういうのは」
「舌は入れるのか」
「そうね、なるべくねっとりしてもらおうかしら」
「本気? こんなとこで」
「許しを請うためだ。仕様がない」
 そう言うとレイは、シンの両頬を掴んで口を開かせ、舌をねじ込んだ。
 レイは情熱的にシンを求めたが、シンは逃げの一手でかわそうとした。しかし、直ぐにレイの舌に掴まり、諦めて自らも舌を絡めたのだった。
「ん……んん」
 シンが苦しげにレイの背中を叩いたので、ようやっとレイはシンを解放した。
「これでいいか?」
 レイがルナマリアに向かって言う。
「ムフ……見ちゃった、見ーちゃった」
 恥ずかしさの余り、その場から脱兎の如く逃げ出そうとするシンの首根っこを掴んだレイがルナマリアの前に突き出した。
「では、こいつに教えるべきことを教えてやってくれ」
「オッケー!」
「じゃあな、しっかり学べ」
 レイは去って行った。
「あう、あう。何で俺、こんな目に。ひでぇひでぇよ、あいつあんなのばっか」
 めそめそと泣くシン。その場で四つん這いになっている。
「はいはい、シンちゃんは可愛いわねぇ。よしよし」
 頭をガシガシ撫でるルナマリア。シンの寝癖だらけの頭が余計に散らかった。
「ていうか、ヨダレ拭きなさい。マジ泣きしてんじゃないわよ」
「俺は男同士のああいう行為は取引でしかやんねえの」
「……さっむいこと言ってんじゃないわよ」
「価値が下がる」
「あんたはホステスか。さーあ、授業始めるわよぉ」
 そしてルナマリアの課外授業は幕を開けたのだった。


本編には入れられなかったけど、ネタ帳にあったものを書いてみました。
成績は常にルナよりシンの方が良かった設定ですが、こういうこともあるのよ、という話でした。
ちゃんちゃん。




posted by 松風久遠 at 15:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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