2013年08月28日

「犬とハサミは使いよう ♯9 犬無いところに煙は立たず」


本田書店にて、本の買い物。
ストーカーが今でも時々襲ってくると、その度に返り討ちにしていると。夏野はしれっと言う。
入り口の窓に怪しい影。
「おすすめの本があるんです。良かったら読んでみませんか?」
と桜が取り出したのは、「蛍星恋話」藤巻忍著。温泉にあった、あの本だ。
マンションに帰り着くと、和人が真っ先に部屋が荒らされている! と異変に気付くのだった。
一見、どこも荒らされているようには見えないが、本が一冊増えている、と。
増えた本とは「蛍星恋話」藤巻忍著。だった。
「私じゃないわよ、あなたが買って忘れてたんじゃないの」
和人が一度買った本を忘れる訳が無い。
それじゃあ、一体?
あのストーカーが? でも円香が窓ガラスを破ってきてから、警備会社にも頼んでいるのに、どうやって?
手ががりはこの本だけなんだから、と和人は本を読み始める。
夏野も読むと言い始める。
書店では桜が映見にあの本、夏野さんとわんちゃんが買って行ったわよ、と話していた。
不覚にも本を読む夏野の姿にときめいてしまう和人。
何故だ、何故こんなに胸が高鳴る…
もう辛抱たまらーんと、夏野の胸にダイブする和人だったが、ゴミ箱へ犬神家よろしく突っ込まれるのだった。
言えない、夏野の読書姿にときめいてしまったなんて。
あらあらあら、活字オンリーじゃなかったかしら?
「わかったよ、惚れればいいんだろ、夏野さん、大好き!」
「なによ、急に、このエロ犬は〜」
赤くなってもぞもぞする夏野。
それより気付いた? この作家、本当に新人かしら。新人作家にしては完成されすぎているし、キャリアのある作家が、わざと作風を変えて書いた…そんな印象さえ感じたわ。
俺も気付いたことがある、この本、おまえの、秋山忍の本にそっくりだ。
ええそうね、読んでいてまるで自分が書いたような気がしてきたわ。
秋山忍の強い影響、執着にも似た強い思い。何者なんだ、藤巻蛍って。
検索サーチでググってみるが…経歴は発表していない。
あれに頼るしかないわね、と柊編集者を呼びつける。
何故かパラシュートで降下してきた?!
藤巻蛍について知っていることを全部吐きなさい。
柊から得た情報。住所、性別、年齢、家族構成まで。
本名まではわからなかったが、まさか女子高生作家だったとはね。
しかもあの、大澤愁山の娘だったとはな。
秋山忍に似てるってこと意外に、気になることがあるのだが、それがよくわからないんだよなぁと和人。
藤巻先生のデビューには色々と謎がありまして、と柊。
実力は確かですが、先方に大澤先生の圧力があったとか。あくまでも噂です。
とにかく行ってみるしかなさそうね。
行くってどこへ?
決まってるじゃない、藤巻蛍の所よ。

藤巻蛍の住所は、浅野台駅、和人の高校がる街だった。
自然と本屋に入ろうとする和人を、引き留める夏野。
「そこまでくると、もう病気ね」
受験なんかよりおまえのほうが大事なんだから、と受験の日の話をする和人だったが、夏野がそのワードに反応する。
「今なんて言ったのよ、もう一度言いなさいよ」
ともじもじしながら問う夏野。
「受験より、おまえの本の方が大事だって言ったけど」
「本?」
「そう、おまえの本」
勝手に勘違いしといて、デレた夏野が和人をお仕置き。
電柱に、怪しい人影が……

「約束、だよ」
窓辺で一人佇む映見が呟いていた。

廃工場跡を、近道だからと通る和人たち。
「思い出に浸っているところ悪いんだけど、私たち、囲まれてるわ」
温泉の時と同じように、商店街の人々が、大挙して押し寄せた。
これも藤巻蛍の仕業なのか? それを確かめる為にも、この状況を何とかしないと。
犬キャノン…
哀れ和人は先陣切って、人々の中へ放り込まれるのだった。
気付くと夏野が全部片付けた後だった。
「答えはあいつに聞いてみましょうか」
現れる、怪しい人影。とは、大澤愁山だった。
「で、どうしてこんなことをしたのか、説明して頂けますかしら?」
縛られて吊されている大澤愁山。
「これ以上、こんなことを続ければ、ついうっかりおもらししてしまうかも知れないぞ。儂ももう年だからな、下の具合はすこぶる悪いのだ」
下ネタかよ!
夏野に蹴りつけられる愁山。
「私の部屋に本を置いたのもあなたね? 警備会社のセキュリティを破ってどうやって進入したの?!」
「その警備会社のオーナーに頼んで、こっそり警報装置と部屋の鍵を外してもらったのだ」
「なんで警備会社がそんなことを」
「あの会社の社長は儂の幼なじみでな、小学生の頃、奴が大きいのを漏らしたのをかばって以来、儂の頼みは何でも…」
「下ネタかよ!!」
「なんでそんなことをしたの」
「決まっている、娘に頼まれたからだ。秋山忍に本を渡してほしいと」
どうしてあんなわかりにくいやり方をするのかと問うと、貴様は娘に悪影響を与えかねんからな、と。娘に近づくのも、作家を名乗っているのも汚らわしいと。
要するに親ばか父さんが娘可愛さあまりに暴走したってことか。
「娘をたぶらかす鬼め、悪魔め、腐れ外道め。所構わずハサミを振り回す無頼漢め! そんなことだから、暴徒に襲われたりするのだ!」
ハサミ一閃、縄を切り落とす夏野。
「やっとわかったわ、大先輩。今、そんなことだから襲われるんだって言ったわよねぇ。つまり、あの男達はあなたが仕掛けた訳ではないっていうことね」
「ということは、黒幕はこいつじゃなくて…」
「そう事件の黒幕はやっぱり藤巻」
娘には関係ない、全ては儂がやったことだと、娘は何も知らない、本当に何も…!
藤巻蛍の狙いが何かまでは分からなかった。
だが、娘はおまえに会いたがっている。

メモの住所は東川高校だった。
和人のクラス、二年A組、そこからいってみようか。
夏野とは別れて、和人は図書室へ。部屋の奥の小部屋に入る和人。夏野の大罪シリーズを押しのけて、出てきた原稿用紙の束。
そこへ、
「やっぱり和人くんなんだね…お帰りなさい、和人くん」
大澤映見がそこにはいた。

posted by 松風久遠 at 18:35| Comment(0) | TrackBack(1) | 犬とハサミは使いよう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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犬とハサミは使いよう TokyoMX(8/26)#09
Excerpt: 第八話 犬無いところに煙は立たず 本田書店で和人と本を購入する霧姫。今も教われているが全員返り討ち。藤巻蛍の「蛍星恋話」を桜に勧められ購入する。平安堂の新人で、前回の宿にも置いてあった。 部屋が荒らさ..
Weblog: ぬる〜くまったりと
Tracked: 2013-08-29 21:32
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